プランツ・ウォーク in 皇居。
前回、「天皇の園芸」と題しましたが、
正確には天皇はかかわっておられないので、取り下げました。
「皇居内苑をあるく」に改題します。
配られた地図です。
スキャナーの関係でちょっと寸足らずですが。
いわゆる皇居は、かつて江戸城本丸があった東御苑と、
これから歩く吹上御苑の東西のエリアからなっています。
地図①が参観者が集められる窓明館。
ここにお土産やさんやトイレがあります。
窓明館でガイドのビデオを見たあと、4列に並ぶよう指示。
老若男女、古今東西のバラエティに富んだ見学者が列をつくります。
まずは国会議事堂のモデルになったという元枢密院の庁舎をまず見学。
でも新しく建て替えられているので、ちょっと風情に欠けます。
そして石垣の説明から。諸国の大名に作らせた石垣には、担当した藩の紋が彫られています。
ここじゃなくても、江戸城の石垣にはどこも入っているんですけどね。
ちなみに大手町にある和田倉噴水レストランの外の石垣にも○に十の紋がありました。
島津藩ですね。そういえば鹿児島みやげのかるかんにも入ってましたー。
皇居内にはガソリンスタンドもあります。
セルフかな…
そして地図③の富士見櫓を下から見上げます。
「立ち止まっての撮影は禁止です! どんどん進んでくださーい」
との注意にもかかわらず、みな記念撮影に余念がない。
そりゃそうですよね、立ち止まるなというほうがムリ。
その名の通り、富士が見えたといいますが、構造的には三層構造のやぐらです。
明暦の大火で天守閣が焼けた江戸城の、その後の天守閣がわりの存在だったそうです。
ここの石垣は加藤清正による、とのこと。
加藤清正は石垣の名人だったそうな。
江戸湾ごしに富士山を望み、杯を傾けていたのでしょう。
夏は隅田川の花火も見えるし。
一行はいよいよ天皇がお住まいになる吹上御苑ゾーンへ。
蓮池濠を渡ってゆるやかな上り坂を進むと、いわゆる一般参賀で天皇がおでましになる広場(宮殿東庭)です。蓮池は季節外れのため立ち枯れたハスしか見られませんが、
上野に匹敵するハスの密集地と見ました。
宮殿東庭は2万人を収容できる広さ! これは警備もたいへんだ。
ところでプランツは、植物はというと
マツ、クス、ケヤキあたりが目立っているのみ。
宮殿の西には通称「大刈り込み」と呼ばれる広大な庭が広がる。
中に入ってみたいけど、一般庶民は残念ながら塀越しに。
カメを模したという巨大な刈り込みは、築山かと思いきや、22〜24種を使った寄せ植えだって。
季節には花も咲くのでしょう。
混ぜ垣もこの発想でしょうか。
白い割烹着を着た方たちがほうきやちりとりをもって歩いて行きます。
しかも宮殿に入れるのかな…
聞けば皇居勤労奉仕のみなさんだそうです。
そうか、こんどはこの勤労奉仕隊に参加すれば一般参観よりはもっと奥までいけるんだ〜
おっと、それよりもこの作業員の方たちは植物の剪定をしている!
プランツ・ワーカーが日々手入れをしているので、どこもぴしっと整然と清められているのですね。
一行はさらに西へ。地図⑨のいわゆる二重橋です。
強度を出すために二重構造になってたから二重橋。
皇居正門にかかる橋を二重橋と誤解している人が多いが、
いまみなさんが立っているここが二重橋ですよ〜とガイドの皇宮警察官。
それを何度も聴かれるから、警察官も最後はちょっとぶっきらぼうに。
なんか、路地裏園芸学会としての独自の発見がほしい。
そう思ってガイドとは違うところをうろうろきょろきょろとしてみますが、
そうは脇が甘くはない。フシン人物を発見すべく、要所には皇宮警察の目が光る。
二重橋で折り返して伏見櫓を遠目に眺めながら、来た道を戻ります。
地図⑥の宮内庁庁舎を西に回り込むとそこはゆるやかな下り坂。
山下通りとよばれる道で、両脇にはモミジとサクラが植えられています。
11月には紅葉が見事とのことですが、今年はどうかな〜
そしてぐるっと戻ってふたたび富士見櫓へ。
櫓の前の空き地には石垣の石がごろごろと。
大手門ヨコの石垣がいま修復中で、石のひとつひとつに合い番を貼って
積み上げるときに間違えないようにしています。
工事は震災前からです、震災のために壊れたわけではありません!
とガイドさん。
これにて終了。
あたりまえだけど、見学できるのはほんのわずかな一部の区域のみ。
ほんとは天皇の田んぼとか桑畑とか、大坂室とか竹藪とか、
見てみたいものはやまほどあるんですけどね・・・・
いつかはきっと、夢は実現できる! 念ずれば通ず!
の言葉を信じて。
参観終了後は、さらに東御苑も散策したい人は近道から案内するので残ってください、とのこと。
くやしいので、せめて位置だけでもと、ガイドさんに田んぼと道灌濠の位置だけを聞いて地図に書き込む。
でもガイドさんもよく知らないみたいです。
午後、予定があったので東御苑はちょこっとだけ。
皇宮警察署前のシダレザクラと、東御苑内のジュウガツザクラを見て退散。
こちらのほうが野趣あってプランツ・ウォークには適しているかもしれませんね。
皇居東御苑のウォークはまたいずれ。
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by lascaux_deu
| 2011-11-02 14:14
| 千代田区
当学会が末席を汚しております「
全国路地のまち連絡協議会」なる集まりがあります。
路地を愛してやまない方々で組織されている会です。
その全国集会でもあります、路地サミットが10月21日から3日間にわたり、墨田区にて開催されました。
その関連イベントでもあります、路地園芸ツアーに同行させていただきましたので、
カンタンではありますが、レポートさせていただきます。
10月21日の14時、集合は東武「曳舟」駅。
改札前に何名かカメラを持った、それとおぼしき人たちが集まっていらっしゃいます。
若い女性、学生さんらしき若者、人柄の良さそうな中高年の方々・・・
路地好きにわるい人はいない、とよく言いますが、遠目にもまったりとした空気が伝わってきました。
名前を幹事の方に告げ、ネームプレートをもらいます。
まずはこの日の案内人・藤井正昭さんのご紹介。
藤井さんは元・京島まちづくり協議会の会長さんで、
2代にわたりキラキラ橘商店街で薬局を営んでいらっしゃいます。
そして、本企画者でもいらっしゃいます、アーティストの
村山修二郎さんのごあいさつ。
村山さんは川崎市にお住まいでありながら、当地墨田区京島エリアに足繁く通っておられ、
この商店街でも顔なじみとなっておられ、また路地園芸の情報も多数知っていらっしゃいます。
路地裏園芸観察学会も、ひとりでやっていますと行き詰まってきますし、ここは路地園芸の先達の胸を借りて
さらに発展を、と目論んで参加したというわけです。
もう下ゴコロアリアリで、そんなこちらを見抜かれたのか、村山さん、やや警戒気味で名刺を交換してくださいました。
さて、前置きはともかく出発です。
駅前を通る曳舟川通りをわたり、再開発により誕生したイトーヨーカドーに添って京成線の高架をくぐります。
曳舟川通りはその名のとおり、かつては堀割で昭和30年ころに埋め立てられたそうです。
そんな説明を伺いながら京成線の高架下へ。レンガ積みのトンネルです。東京丸の内の高架もレンガでした。
そして視界が開けるといきなり路地裏園芸スポットが。
縁側仕立ての手製植木台にずらり。リュウゼツランやクンシランで足下を埋めてドラセナ・パラオで高さをだす。そして中央にハンギングの何か。
きっと主は画家がキャンバスに向かうように、路上に出ては引きで全体図を日々確認しているのでしょう。
神社の七五三ポスターはちゃんと石灯籠の上に貼って、和洋の違和感がないようにしています。
しかし、このパブリックスペースを控えめに占拠してプライベートガーデンと成すワザはすばらしい。
お隣の玄関のグランドカバーにはヒメツルソバを生やしたか、生えちゃったのか、
しっかり強い植物のために開放しています。
圧巻は西洋アサガオの家。ヒモで誘導しています。
しかもこの一軒だけじゃない。お隣も。どこがモトなのか。
もしかして、あの2階の部屋のなかに鉢植えがずらっと並んで、
窓から這い出しているのか…
つまり、この家そのものが植木鉢!
いやー、すごいものを見ました。
さすが美術家の審美眼はすごい。
そして定番、ビワです。
こちらのお宅の鉢置きはタテへの展開。トリのえさ台のように観葉植物が配置されています。
右の塀の上は盆栽かな。玄関前には控え選手。ブルペンで肩をならしています。
先発がちょっと弱ったらいつでも交換できるという、選手層の厚さを感じます。
まあ、こんな感じで観察会は続きます。
ゴールまではまだまだ。
つづく
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by lascaux_deu
| 2011-10-27 19:21
| 墨田区
昭和天皇が無類の植物好きだったことは、皇室ファンでなくとも
知るところだと思います。
とくに、有名なエピソードは、吹上御殿の庭は絶対に手を加えてはいけないというオキテがあること。
倒木があってもそのまま。
雑草ひとつ抜いてもいけない。
もし抜いたりしたら、
「あそこの○○草がなくなったが、どうした?」
とおっしゃったそうです。
とくに雑草という呼び方を嫌われたとか。
つまり植物にはすべて名前がある、
ということなのでしょう。
それが現陛下のもと、どこまで守られているのか、わかりません。
が、そのオキテがいまもって生きているのなら、
皇居の庭は、おそらく明治神宮より、いや第6台場より、
下手をしたら仁徳天皇陵よりも自然林なのかもしれません。
また、皇居は銀座のミツバチの大切な蜜源でもあるといわれています。
そんな未開の大植物ゾーンが千代田区1−1−1にあるなんて。
行ってみたい。でもすぐにはかなわぬ夢。いつかは・・・
いまから宮内庁に就活かけるか・・・
というわけで、少しでも近づこうと、皇居参観に申し込むことに。
お正月や天皇誕生日の一般参賀にちょっとコースがプラスされた程度のものですが、
それでも江戸時代からある樹木に会えると思えば、自然と胸が高鳴ります。
申し込みは意外とカンタンでした。
午前10時集合、その10分前までにということなので内堀を散策。
都内でもっとも美しい場所は、と聞かれて、たいていの人が答えるのが、
この皇居周辺。
電線もなければ車もほんのわずかしか通らない。
きれいに刈り込まれたマツと芝生が織りなす空間は、実に快適です。
芝生にはときどきキノコが。
皇居でキノコ狩りもいいな、と思いつつも、食べられるかどうかわからないだけに、
写真のみで。あとで調べることとしよう。
集合場所の桔梗門付近に、制服制帽の係員さんの姿がみえる。
そして観光バスがどんどんやってくる。
こじんまりとした見学かと思いきや、これは大団体ツアーなのでは・・・
用意した書類を渡し、いよいよ中へ、と思ったら、
「門を入ってある建物が休憩所です。見学前にこちらで案内ビデオを見ていただきます。
また、売店は行きだけ、帰りは買えません。お買い物をされる方は、それまでにお済ませください」
とのアナウンス。
売店? 土産物があるんだ。
そういえばさきほど塩瀬のなまえの入ったハイエースが進入していった。
しおぜ、って羊羹だっけ・・・?
これがいわゆる御用達だ、
天皇が取り寄せたんだ、と思っていたけど、そうじゃない。
ただ土産品の補充かい!
見学者は圧倒的に女性が多い。
中高年の。それに引きずられるように中高年の男性。
それとアジア系の外国人に欧米人。
場違いな感じで、ギャル系。
どんどん売店に吸い込まれていく。
手ぬぐいも売ってる。
こんな団体構成でした。
きけば250人の大所帯。
この人たちとこれから皇居を、
天皇の園芸を見て回るんだ・・・
つづく
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by lascaux_deu
| 2011-10-21 17:41
| 千代田区
湯島はゆっくり歩きたい街のひとつです。
とくに雨の日は色もよく出るので、美しさも倍増!
本郷三丁目から本郷通りをお茶の水方面に歩き、途中で湯島へ折れていきます。
最近はオフィスやマンションが増え、園芸も減ってきている様子。
エントランスなどに植栽はありますが、整然ときれいなものが多く、
野趣あふれる野放図な園芸はあまり見当たりません。
それでも上野に近くなるあたりから少しずつ、植物の姿が。
嗅覚をたよりになるべく路地へ。
路地の石段。
いい感じです。雨に濡れて、植木鉢の植物たちもうれしそう。
本郷台地のへりは高低差が大きいので、どこも絵になります。
しかし、この界隈は妻恋町とか黒門町とか、味のある町名ですね。
旧町名で行くと、今回のルートは、新花町から妻恋坂を下って、途中で三組町に迷い込み、
通りをわたって五軒町へ。
そうだ、このへんに昔、20年以上も前だけどよく行ったバーがあったな。
土蔵を改造したバーで、テーブルにボトルがずらっと並んでいて・・・
お、まだありました。
once upon a timeか・・
再開発の手が少しずつ及んでいるのか。
これははやめに来ておかねば〜
植物たちのささやかな抵抗。
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by lascaux_deu
| 2011-10-12 19:18
| 文京区
天気いいし、会社にいてもなんだなーと思い、六義園のホームページを見ておりました。
やっぱり紅葉はまだ早いなかとページをめくっていると、
東京都公園協会のホームページで
「徳川3代将軍から、大名・庶民まで、花開く江戸の園芸文化―その保全と継承」なる展示(12月27日まで)のあるのを知りました。
場所は日比谷公園内「みどりのIプラザ」。
日比谷公園といえば、本多静六先生の手になる、日本初の洋式公園として有名だし、
イイノホールが閉館して以来、しばらく行ってないなと。
学会としてもこれはチェックする必要があろうと、さっそく出陣。
ほとんどがパネル展示なので、相当お好きでないと微妙な企画展ではありますが、江戸の園芸の全容や主要人物が概観できました。
樹仙こと伊藤伊兵衛の庭園図を紙にプリントして模型として展示してあります。
これを作られたご担当に拍手!
細かいいい仕事されています。染井の植木屋はこんなふうにやってたんだなと、
しばしタイムスリップを楽しめました。
2階が図書館になっていて、そこは植物関連の書物の宝庫!
初めて来ました。
ここはいいですね。樹木、園芸、環境、動物関連の本ならここにくることにしよう。
と決めて館外へ。
折しも日本全国を高気圧が覆う秋晴れ。
せっかくなのでテラスで食事を、と同プラザの1階でランチ。
クスノキが大きい。木陰で食事はいいものです。
グラスビールもうまい。
さてこのあとせっかくなので、日比谷公園を設計した本多静六師の森マニアとしての逸話でもあります「首賭けイチョウ」を見て帰ろうと、園内をしばし散策。
どうりで温かいはずです。サクラがもう開花してました。
花は白系の5弁。花びらが少し縮れて。
オオシマザクラですかね。
池の畔ではネコが置物のように。
樹木には樹名をあてるようになっていて、木の知識試しにももってこい。公園協会、えらいです。
で、お目当ての首賭けイチョウとご対面。
日比谷交差点で伐採されようとしていたこの巨樹を静六は「わしの首を賭けてでも〜」といって大移植を敢行したそうです。
樹齢400年と言われたこの巨樹、松本楼のテラス前はふさわしい立地です。松本楼も1903年からですから、十分歴史がありますが、日比谷公園のデモだの震災だのいろいろと見てきているのでしょう。
被災地支援のチャリティカレーは9月25日でした。
またの機会にくるとしよう。
このあと、日比谷公園を出て霞ヶ関へ向かいました。
議員会館裏の路地園芸を思い出したからでした。
以前、この路地周辺には民家があって、ニワトリを飼っていたお宅があったので、どうなっているかなーと立ち寄ることに。
遠目に立体駐車場の建物が見えたので、もう取り壊されているだろうな、と思いつつ近寄っていくと、やはりそこは開発工事中でした。
清水建設のプレハブが建ち、現場作業員の方々がいました。
かろうじて当時の面影を残す石垣があったので。
工事現場にはかなり大きなクスなどもありましたが、あれも伐られてしまうのでしょうか。
路地を国会議事堂前駅に向かって抜けていくと茱萸坂。
ここに来るまでも気になっていましたが、霞ヶ関はイチョウが多い!
しかも雄雌がほどよく植えられているのか、ギンナンもいっぱい落ちています。
国会議事堂前はギンナン拾いの穴場です。
誰も拾っている人はいないし、ケーサツも見張っているので、車道にはみ出しても安心。
すごいぞ国会議事堂。イチョウ坂だ。
でもここは茱萸坂。昔は相当、目立つ茱萸だったんでしょうね。
園芸は見当たらなかったのですが、清水建設の現場プレハブに植木鉢がいくつか並んでました。
#
by lascaux_deu
| 2011-10-07 17:50
| 千代田区